アルファベットも知らない→2年半で英検1級合格
子供が将来の夢に向かうとき、語学が足かせになってもらいたくないので、
幼い頃から自然に英語に触れて欲しい。
多くの親御さんはそう思って、英語音源のかけ流しや英語での語りかけ、テレビ番組やDVDを英語で視聴、
英語絵本の読み聞かせ、英会話スクールに英語教材など、皆さん頑張っていらっしゃると思います。
私を含め、「3ナイ主婦が息子を小6で英検1級に合格させた話」の著者、タエさんに憧れる方が多いのも、
おうち英語でお子さんが「英語ができる」ようになったから。その目安として「英検1級」はとてもわかりやすい目標です。
そんな「小学生のうちに英検1級」を、いわゆるバイリンガル育児とはまったく違うアプローチで達成したのが、今回紹介する淵上理音さんです。
彼女は、アルファベットも知らない段階から、わずか2年半、9歳で英検1級に合格しました。
私の恩師である「英検1級道場」の山中昇先生のもとで英検1級の二次試験(面接)対策をしましたが、それ以外はまったくの独学です。
「自称英検3級程度」とおっしゃるお父様が日本語で指導されました。
インターナショナルスクールや英会話スクールどころか、塾や習い事には一切通ったことがないそうです。
その上、英検だけではなく、漢字検定2級(高校卒業レベル)、数学検定2級(高校2年生レベル)
に合格され、「算数オリンピック(キッズBEE)」や「全国統一小学生テスト」でも
優秀な成績を収めながらの英検1級合格です。
この度、理音さんをご指導されたお父様にインタビューを申し込んだところ快くお答えくださいました。
そこで、私が学んだことを皆様にもシェアしたいと思います。
ネイティブと話したこともないまま英検1級合格に
多くのバイリンガル教育研究者が、「英検合格のためだけに勉強するのはおすすめしない。
十分に合格できる実力がついてからその級を受けるのが望ましい」とおっしゃいます。
なぜなら、もし不合格になると子供は大きなプレッシャーを感じて自信をなくしてしまうからです。
しかし、理音さんの場合は、まさに「英検に合格するため」に英語の勉強をスタートしました。
小一の11月、数学検定7級に合格したとき、「英検というものもあるんだよ」とお父様が伝えると、
「それにも合格したい」と答えたので、翌月から英検への挑戦が始まったそうです。
しかし、それまで、理音さんは英語を聞いたことがほとんどありませんでした。
共働きの淵上家では、理音さんの勉強はお父様が見ることになっています。
お父様は、最初は小学生向けの簡単な英語図鑑を見せながらすべての単語を発声させ、
英単語の文字と音声を一致させようと試みました。
しかし、 this, withなどの単語を、何十回、何百回と教えても理音さんはなかなか覚えられず、「
もしかすると娘の脳には何か欠陥があるのではないか」とお父様は不安に思ったそうです。
(これを聞いたとき、正直私はほっとしました。お子さんに勉強を教えている親御さんなら一度は「自分の子は頭が悪いのではないか」と思うことがあると思います。
しかし、かなり優秀な理音さんのお父様でも同じように思ったということは、
子供は発達途中だから仕方ないということですよね☺)
ところが、その後2ヶ月も経たないうちに英検5級に合格。
その後も、小二の6月に4級、小二の11月に3級と準2級(ダブル合格)、小二の2月に2級、
小三の11月に準1級、そしてついに小四の7月に1級にそれぞれ合格されています。
特筆すべきは、それまでネイティブと会話をしたことがまったくなかったことです。
英検1級の二次試験対策で山中先生のレッスンを受講した以外では、
オンライン英会話で数時間フィリピンの先生に学んだだけだそうです。
そして、いわゆる「多読」もされていません。
ご両親ともに働いていらっしゃることに加え、他の試験の勉強も並行しながらだったので、
英語の童話をほんの数冊読んだくらいで、多読を実践する時間はなかったそうです。
ただ、週刊の英字新聞2誌は毎週読んでいたそうです。
アルファベットを書いたのは、準1級の英作文対策のときが初めてだったそうです😵
(現在は2級から英作文があります)
どんな勉強方法で合格へ?
英検1級は、決して簡単に合格できる試験ではありません。
小学生で合格できる子は、過去の英検の発表だと、年間30人くらい。
帰国子女、海外受験組も含めていますので、パスポートも持っておらず、バイリンガル教育で英語感覚を養ってきたわけでもない9歳の理音さんの合格がいかに珍しいケースかがわかります。
多くの方がここで思うと思います。
「どんな勉強方法で合格することができたのか?」
理音さんの詳しい勉強の内容は、山中先生のブログでお父様が公開していらっしゃいます。
http://mbp-chiba.com/eiken/column/5401/
要約すると、
❶音読を地道に繰り返して英語を英語のままで取り込んだ
➋リーディングも英作文も面接も、論旨を日本語でしっかり理解していた
この二点が大きかったと思います。
実際、理音さんは、1級の二次試験では「テクノロジーは教室における教師の役割を弱体化させているか」について述べ、ショートスピーチは10点中10点の満点、発音も9点と非常に高い点数で、英検特別賞を受賞されました。